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10. 酵母について

酵母

酵母は真核微生物が成長したものです。基本的には単細胞ですが、中には仮性菌糸として知られる出芽性細胞が連鎖したものや、カビによく見られるような真性菌糸など多細胞のものもあります。酵母のサイズは、種類によって異なり、一般的には直径3?4 μmですが、40 μmを超えるものもあります。

酵母の有益な生理学的性質、特に真核生物に見られるサッカロマイセス・セレヴィシエ(パン酵母や出芽酵母)は、遺伝学や細胞生物学で広く利用されてきました。
これは、酵母細胞の細胞サイクルが人体の細胞サイクルと非常によく似ており、DNA複製、再結合、細胞分裂及び代謝の基本的なメカニズムについて比較することができます。酵母の細胞活動は、大腸菌のようなバクテリアよりもずっと人体細胞の活動に似ています。さらに大腸菌のように容易に培養することができ、成長も速く、全ゲノム(遺伝情報)が解明されています。また他遺伝子を移植することも簡単です。単一酵母の細胞サイクルは、人体の細胞サイクルと非常に似ており、相同タンパクにより調整されています。

ライフサイクル
酵母は無性と有性の繁殖サイクルがあります。酵母の栄養増殖で最もよく見られるのは、発酵または核分裂による無性繁殖です。まず、親細胞で娘細胞(小さい芽)が形成されます。次に、親細胞の核が娘核に分かれ、娘細胞に移動します。芽は親細胞から離れるまで、成長し、新しい細胞を形成します。芽は、酵母の種類によって親細胞の様々な部分から発生します。

出芽酵母は2つのゲノム(2倍体)か1つのゲノム(1倍体)で存在します。どちらの場合も、有糸分裂で芽を形成(以下“発芽”)して繁殖します。
1倍体細胞は、a もしくは αの異なる交配型で発生します。この交配型は、交配型遺伝子座の遺伝子発現により決定されます。



1倍体細胞は1倍体の状態で永久に生きることが出来ます。しかし相反する交配型をもつ2つの細胞が交わると、結合し細胞サイクルの複相に入ります。これは特に珍しいことではありません。
*半数体胞子の発芽は子嚢にいる間に発生し、交配も通常そこで行われます。
*1倍体細胞が成長過程であっても、相反する交配型の細胞が存在することがほとんどです。図は、各1倍体細胞が同じ交配型の芽を形成している様子を示したものですが、細胞はよく交配型を変えます。なぜそれが可能なのかと言うと、活性交配型の遺伝子座に加えて、2つの
  「沈黙」遺伝子座a とaを含んでいるからです。活性遺伝子座の二本鎖切断(DSB)は、一方の沈黙遺伝子座の情報で修正されます。細胞がaの場合、沈黙a遺伝子座の情報を書き換えます。その逆もしかりです。
複相は、厳しい環境に対し耐久性があります。2倍体細胞は栄養がなくなってくると、減数分裂し、子嚢で4つの半数体胞子を形成します。(出芽酵母は子嚢菌に属しています。)

環境が回復すると、胞子は4つの1倍体酵母細胞、2つのa と2つのaを形成しながら、発芽します。
酵母の一種のサッカロマイセス・セレヴィシエ(出芽酵母)は、何千年にもわたってパンを焼くために使用されたり、アルコール類の発酵に用いられたりしてきました。

酵母の多くは、飲食用に用いられています。パンを焼くためのパン酵母、ビールやワインを発酵させるための醸造用酵母等です。また、現代細胞生物学では研究用のモデル生物として、非常に重要な役割を果たしており、最も研究が盛んな真核微生物と言えます。真核細胞の生物学上、また最終的には人体の生物学情報を収集する際に、これらの酵母が使われます。

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